食物アレルギー

　野菜や果物、大豆など、特定の食物を摂取した時に、口の中に痒みや刺激、痛みなどが起こります。また口の周りに蕁麻疹ができることもあります。
　花粉症との関連性が指摘されていて、アレルゲンとなる花粉と化学構造が似ている食物の成分によってアレルギー反応を起こすのではないかと考えられています。関連性のはっきりしている食物としては、スギ花粉症とトマト、ヨモギ花粉症ではセロリやニンジン、ブタクサ花粉症ではキュウリやメロンなどが症状を起こしやすいものです。
　加熱することによって化学構造が変化し、アレルギー反応が弱まることもありますが、加熱に強い成分もあります。また大量摂取によってアナフィラキシーに至るケースもあります。そのため、原因となる食物を特定して食事をコントロールしていくことが大切です。

　食べただけではアレルギーは起こらず、食べた後運動することによってアナフィラキシーを起こす食物アレルギーです。
アナフィラキシーは、口腔に発疹ができると同時に喘息発作を起こす、蕁麻疹とともに腹痛を起こすなど、2つ以上の身体の部分に同時に即時型のアレルギー症状が発症することです。それによって呼吸困難、血圧低下などの危険な全身症状を起こすとアナフィラキシーショックになります。
　甲殻類（エビやカニ）、小麦などで症状を起こすことが多く、一般的には激しい運動で起こるとされますが、ちょっとした運動だけでも起こることがあります。

　ラテックスはアレルゲンの一つで天然のゴムに含まれる成分です。ラテックスアレルギーの人は、バナナ、クリ、キウイフルーツ、アボカドなどに反応してアレルギー症状を起こしやすい傾向があります。ラテックスの化学構造とこれらの食品の中の成分が良く似ているためにおこります。このことを交差抗原性と言います。

乳児期の食物アレルギー物質としては、卵アレルギーが5～6割を占めており断然の1位です。次に牛乳、小麦と続きます。

　卵アレルギーは子どもの食物アレルギーの中でも最も一般的なものです。最初に鶏卵を食べさせる時は最初から大量に与えず、少量から始めて様子を見ましょう。
　卵アレルギーがあるからといって、皆が卵を除去する必要はありません。卵は安価で栄養が豊富な食物ですので、栄養バランスから考えても、除去や予防をしないで良いケースでは無理に行う必要はありません。
　除去や予防が必要なケースとしては、生後6か月未満で食べるとアトピー性皮膚炎を発症する、痒みのある湿疹が出るなどといったケースが挙げられます。
(日本小児アレルギー学会：「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」参照)

　卵アレルギーが出てしまったら、まずは痒みのある湿疹などの皮膚症状を改善させておく必要があります。基本的には、保湿剤とステロイド外用薬などを使った治療になりますが、掻き崩すなどから悪化、慢性化させないように、小児科、皮膚科などを受診して相談してください。
　皮膚症状が治ったら、卵アレルギーに対する対策を実行しましょう。

　湿疹が改善したら、卵アレルギー対策を始めます。まずは、生後5～6か月頃から固ゆで卵の黄身だけ、またはできるだけしっかりと加熱した炒り卵を少量食べさせ、様子を見ながら少しずつ増やしていきます。いつ食べ始めるか、増量するかについては、必ず医師の指示を受けて行ってください。そうしたタイミングで強いアレルギーが起こってしまう可能性もあります。
こうした対策を行っていくことで、卵アレルギー発症の確率は2割から2.5割程度まで減らすことができます。